なぜSIerの管理職は変化を受け入れないのか

弊社でいろいろカイゼンの提案をしてみたが受け入れてもらえなかった。
なぜ受け入れてもらえなかったのか考えてみた。

(1)コストがメリットを上回る

基本的に弊社では新規にプラクティスを導入しようとした場合、そのコストとリスクはgoサインを出した課長かその1つ上の次長が持つ。

弊社では「赤字案件撲滅」という重点目標がある。そのため、どのプロジェクトにしろわざわざプラクティスをリスク込みで取り入れるには大変リスクがある。
新しいプラクティスは初期にはコストを大きく食う割にメリットを享受できないという点も大きい。
比較的大きなバジェットのある大きなプロジェクトに混ぜてもいいが、大きなプロジェクトで変なことされてこけると大変アレなのでそちらもリスクが大きい。

一番大きいのはJenkinsの自動テストを提案し、「手動テストを自動テストに置き換えれば手動テストの工数を他に回せます!」と言ったら「減った分の工数だけ売上が減るじゃないか!」と言われた点だと思う。最大の問題は契約。


(2)過去の成功体験と失敗体験

過去にエクセルと人力で何とかなってきた歴史がある。

また、00年台前半に100億単位の予算をつぎ込んだ某巨大プロジェクトがあった。その時に大変野心的な業務フローと最先端の技術とUMLなど最先端プラクティスをつっこんだ。
死亡フラグがビンビンなのだが、トレーニング期間をケチったとかプロパーの要員がほぼCOBOLerだったとか要件定義が固まらなかったとかで大炎上した。
その際に取り入れようとした新プラクティスはすべて放棄された。その時に「新しいことをやると必ず失敗する」という考えがマネージャーやメンバーに刷り込まれてしまった。
また、その後も新プラクティス導入の動きはあったようだが、ほとんど失敗して導入者が左遷されて終わったとのことである。


(3)私と新技術に信頼がない

私が単なるメンバーだったことが大きかったと言われた。
また、「何か提案したければ管理職になってから自分の責任でやれ」とも言われた。

さらにJenkinsで自動テストを提案したときは「某巨大ベンダの営業がコードの自動生成をたまに持ってくるけど、ああいうのは全くうまくいかなかった」と言われた。
どうも「この新技術は銀の弾丸です!」と言われて痛い目にあった経験が心の傷として残っていたようだ。